YOSHIMI裁判いっしょにアクション!
「吉見裁判」とは、中央大学の吉見義明さんが、日本維新の会の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判です。

2016-03-28

シンポジウム「「慰安婦」問題をどう伝えるのか?」開催のお知らせ

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シンポジウム
「慰安婦」問題をどう伝えるのか?
-その実践と困難-
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DATE:2016年5月14日(SAT)
TIME:午後 1:00~
PLACE:一橋大学東キャンパス東1号館1101(予定)
     (JR中央線国立駅徒歩10分)
 ※参加費:500円(予定)

 YOSHIMI裁判は、2016120日に不当な判決が出されました。
 「慰安婦」問題をはじめとする歴史問題をめぐっては、被害者から目を背けるふるまいが社会をおおっています。裁判所の判断もこの風潮を忖度したのでしょうか。
 YOいっションは、高裁でのたたかいにむけて、また日本軍「慰安婦」問題をめぐる困難な情況に抗するために、〈「慰安婦」問題をどう伝えるのか?〉をテーマにしたシンポジウムを開きます。前半では、武藤行輝さん(原告弁護団)に地裁判決の解説をいただいた上で、吉見さんに高裁にむけてお話しをいただきます。後半は、斎藤一晴さん、平井美津子さんが、教育の現場から、被害者の姿を「伝える」ということはどういうことか?どんな困難があるのか?を話します。いっしょに考えていきましょう!

☆タイムテーブル
1.吉見裁判地裁判決の不当性について 武藤行輝さん(吉見裁判原告弁護団)
2.高裁にむけて 吉見義明さん
3.シンポジウム「慰安婦」問題をどう伝えるのか?
  吉見義明さん・齋藤一晴さん・平井美津子さん

☆講師プロフィール
武藤行輝さん
弁護士(東京弁護士会所属)。1987年埼玉県秩父市にて出生。2010年早稲田大学法学部卒業。2013年同法務研究科修了。2014年司法修習修了(第67期)。2015年1月 弁護士登録、桂協同法律事務所に入所し、現在に至る。

平井美津子さん
大阪府吹田市立第一中学校社会科教諭、立命館大学地歴科授業研究非常勤講師。「慰安婦」、沖縄などを中心に歴史学と歴史教育について研究、実践を行っている。著書・論文として、『中学校歴史・公民育鵬社教科書をどう読むか』共著(高文研)、『すっきり!わかる歴史認識の争点Q&A』共著(大月書店)、「歴史教育の現場から ―「慰安婦」の授業を中心に―」(『歴史学研究』No9012013年1月号)、『原爆孤児 「しあわせのうた」が聞こえる』(新日本出版社)など多数。

齋藤一晴さん

1975年山形県生まれ。明治大学大学院文学研究科修了・博士(史学)。明治大学ほか非常勤講師。専門は日本近現代史・歴史教育・東アジア歴史対話(日中韓共同歴史教材開発・共同授業)。著書・論文として、『中国歴史教科書と東アジア歴史対話』花伝社、2008、「東アジア共通歴史教材の作成から東アジア史へ-歴史学と歴史教育の協働のために-」(『歴史学研究』20136月号)、「大学における戦争及び植民地支配学習に関する一考察-教養科目・教職科目の授業から-」(『教職課程研究年報』第28号、2014)、「日中授業交流の現在-歴史教育者協議会日中交流委員会の取り組みから-」(『歴史地理教育』837号、2015)、「歴史認識の共有とはどのようないとなみか歴史教育を国境を越えて問い直す」(『歴史学研究』2015増刊号)など多数。

2016-02-17

日刊ベリタに掲載されました


「吉見裁判」東京地裁判決下る

1月20日、私は「吉見裁判」の判決を聞くために東京地裁へ行きました。
 「吉見裁判」とは、平成25年5月27日、日本維新の会の桜内文城衆議院議員(当時)が日本外国特派員協会という公の場で、20年以上にわたって日本軍「慰安婦」の実態を追求してきた吉見義明中央大学教授の著書に対して「これは既に捏造であることがいろんな証拠によって明らかとされております」などと発言したことから、吉見教授が発言の撤回と謝罪を求めて桜内氏に内容証明を送ったところ、桜内氏が応じなかったため、吉見教授が桜内氏を名誉棄損で訴えた裁判です。 <続き>

2016-02-14

[シンポジウム]日韓「合意」問題 連続企画シンポジウム(2/27、3/19)のご案内

[シンポジウム]日韓「合意」問題 連続企画シンポジウム(2/27、3/19)

 2015年12月28日、日韓両外相が発表した「慰安婦」問題に関する「合意」は、何よりも日本軍「慰安婦」被害者の方がたの声に耳を傾けることなく「最終解決」とした点で容認できません。安倍政権は、形式的な「責任」と「謝罪」の表明と、韓国政府が設立する財団への10億円拠出だけで、「慰安婦」問題を「最終かつ不可逆的」に終わらせると約束させました。歴史教育に言及しないばかりか、朴槿恵政権は「平和の少女像」(平和の碑)の撤去・移転まで示唆しています。
 日韓「合意」に対し、日本では歓迎ムードですが、韓国では被害女性たちや支援団体含め全国的な抗議運動が起こっています。
 日本と韓国の世論の落差はどこに起因するのか——
 被害女性が望んでいない「合意」で「慰安婦」問題の幕引きは許されません。
 2つのシンポジウムをとおして、今後の課題を浮き彫りにします。

★チラシはこちらから
http://fightforjustice.info/?p=4161

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日韓「合意」と日本の「慰安婦」問題認識
——忘却のための「解決」は許されない


■「日韓「合意」の何が問題なのか」
吉見義明(日本史/中央大学教授)
■『帝国の慰安婦』事態と日本の知識人
鄭栄桓(チョン・ヨンファン、朝鮮近現代史・在日朝鮮人史/明治学院大学准教授)

コメント:北原みのり(作家)、金富子(植民地朝鮮ジェンダー史/東京外国語大学教授)
主催者あいさつ:中野敏男(歴史社会学/東京外国語大学教授)
コーディネーター:梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表

●日時:2016年2月27日(土)13:00開場、13:30〜17:15
●会場:韓国YMCA地下ホール・スペースY(JR「水道橋」東口5分)
●参加費:一般1000円(非正規・学生500円)
●共催:日韓「合意」と日本の「慰安婦」問題認識シンポジウム実行委員会、
日本軍「慰安婦」問題web サイト制作委員会(FFJ)        
●協賛:御茶の水書房 週刊金曜日
●問合せ:http://fightforjustice.info/?page_id=601#contact


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【Fight for Justiceシンポジウム】
「慰安婦」問題と現代韓国 ——日韓「合意」の何が問題か      


韓国を代表する韓国現代史研究者・アクテビィストの韓洪九さん(聖公会大学教授、Fight for Justiceブックレット3の共著者)を招いて、韓国の歴史的社会的文脈のなかで「慰安婦」問題がどう扱われてきたのか、今回の日韓「合意」をどうみるのか、朴槿恵政権はなぜ「合意」を推進したのかに関して講演を聴き、さらにコメンテーターとの応答を通じて、今後の課題を浮き彫りにします。 

■講演:韓洪九(ハン・ホング)
コメント:梁澄子(ヤン・チンジャ、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)
吉見義明(日本史/中央大学教授)

主催者あいさつ:小野沢あかね(日本近現代史、女性史/立教大学教授)
コーディネーター:金富子(植民地朝鮮ジェンダー史/東京外国語大学教授) 

●日時:2016年3月19日(土) 12:00開場、12:30〜15:45
●会場:中央大学駿河台記念館281教室   
(JR中央・総武線「御茶ノ水駅」3分、丸の内線「御茶ノ水駅」6分、
千代田線「新御茶ノ水駅」5分)
●参加費:一般1000円(非正規・学生500円)
●主催:日本軍「慰安婦」問題web サイト制作委員会
(日本の戦争責任資料センター
「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)) 
●協賛:御茶の水書房 週刊金曜日
●問合せ:http://fightforjustice.info/?page_id=601#contact

*韓洪九:歴史学者。韓国聖公会大学教養学部教授。NGO平和博物館の創設メンバー。日本語で読める著書に『韓洪九の韓国現代史——韓国とはどういう国か』『韓洪九の韓国現代史Ⅱ——負の歴史から何を学ぶのか』(平凡社)、『倒れゆく韓国』(朝日新聞出版)、最近刊『韓国・独裁のための時代—— 朴正煕「維新」が今よみがえる』(彩流社)など。Fight for Justiceブックレット3『朝鮮人「慰安婦」と植民地支配責任 Q&Aあなたの疑問に答えます』にインタビュー「自国の加害の歴史とむきあう〜事実認定と謝罪なき「和解」はない」収録。

【シンポジウム賛同カンパのお願い】
海外ゲスト招聘のためご支援よろしくお願いします。

賛同団体名は当日資料に明記します。
個人:一口1000円/団体:一口3000円
■郵便振替:00160ー4ー323057
【口座名】FFJ(エフエフジェー)
*通信欄に「シンポ賛同金」とお書きください。


2016-01-26

『桜内文城被告・秦郁彦証人陳述批判』(パンフPART4)のご案内

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必読!
『桜内文城被告・秦郁彦証人陳述批判』(パンフPART4)
のご案内
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 YOいっションでは、このたびパンフレットのPART4にあたる『桜内文城被告・秦郁彦証人陳述批判』を刊行しました。
このパンフレットは、被告の桜内文城氏と被告側証人の秦郁彦氏が法廷でおこなった陳述に対して、吉見弁護団が徹底的な批判を加えたものです。
本パンフレットは、桜内・秦両氏の法廷での「尋問調書」を収録するとともに、それを批判した「原告準備書面」を収録しています。
 1月20日の地裁での判決は極めて不当なものでしたが、このパンフレットを読めば、桜内・秦両氏の主張がいかに破綻したものであったかがよくわかります。そして、そうした両氏の言説を放置することになった地裁判決の不当性をあらためて確認していただけると思います。
今後、裁判闘争は続いていきますので、パンフレットの購入や普及を通じて、運動を支援していただければ幸いです。
 なお、すでにYOいっションでは、『日本軍「慰安婦」制度はなぜ性奴隷制度といえるのか』パンフ(PART1〜3)を刊行しています(PART1〜3の内容は、末尾に記します)。PART1〜4をまとめてご購入いただくと、2000円(200円引)で販売させていただきます(送料は別途いただきます)。

【『桜内文城被告・秦郁彦証人陳述批判』パンフレットPART4のご案内】
<コンテンツ>
(1)  原告準備書面(10) 2015年7月13日
(2)原告準備書面(11) 2015年10月5日
(3)桜内文城被告本人尋問調書 尋問期日:2015年4月20日
(4)桜内文城被告本人尋問調書の訂正箇所
(5)秦郁彦証人尋問調書 尋問期日:2015年7月13日
<サイズ>A4版196頁
<価格>1冊700円(別途送料をいただきます)

【申し込み方法】
ウェブ(お問い合わせフォーム)より、お申し込み下さい。
その際、「パンフレット PART4 購入希望」と明記の上、お名前、送付住所、電話番号、冊数をお知らせください。(PART1〜3が必要な場合は、その旨明記して下さい)
パンフレットをお送りします。同封された振替用紙で代金をお支払いください。
合計10冊を購入されると、送料が無料となります。
また、パート1〜4をまとめて購入されると、合計2200円のところ、2000円に割り引きさせていただきます(送料は別途いただきます)。

【申込先】
ウェブフォーム:http://www.yoisshon.net/p/blog-page_6671.html

*****以下、PART1〜3のご案内*****
【『日本軍「慰安婦」制度はなぜ性奴隷制度といえるのか』PART1のご案内】(2014年12月発行)
 第5回(2014年9月)と第6回(同12月の口頭弁論で吉見弁護団は、日本軍「慰安婦」制度がなぜ性奴隷制度と言えるのか、歴史的・法的に大展開しました。その内容と、国際法学者の阿部浩己教授(神奈川大学)の意見書を収録したのが本パンフレットです。
<コンテンツ>原告準備書面5(歴史的事実)/原告準備書面6(国際法的事実)/阿部浩己意見書(専門家意見書)
<サイズ>A4版58頁
<価格>1冊500円(別途送料をいただきます)※10冊以上で送料無料

【『日本軍「慰安婦」制度はなぜ性奴隷制度といえるのか』PART2のご案内】(2015年5月発行)
 吉見さんが裁判所に提出した「陳述書」を収録しています。「慰安婦」が性奴隷であることについて、さまざまな根拠をあげて、論証しています。
<コンテンツ>吉見義明「陳述書」(2015年3月10日)
<サイズ>A4版45頁
<価格>1冊300円(別途送料をいただきます)※10冊以上で送料無料

【『日本軍「慰安婦」制度はなぜ性奴隷制度といえるのか』PART3のご案内】(2015年10月発行)
第9回口頭弁論(2015年10月5日)の結審に向けて出された原告最終準備書面が収録されています。今までの裁判の流れをつかめるものとなっております。また、小野沢あかね立教大学教授の意見書も収録。小野沢意見書は、戦前日本の公娼制度が性奴隷制度であること、また、そのような認識が戦前日本社会でも広く受け入れられていたことを明らかにし、「慰安婦は公娼であって性奴隷ではない」という議論はなりたたないことを論証しています。
<コンテンツ>原告最終準備書面・小野沢あかね意見書(2015年10月5日)
<サイズ>A4版115頁
<価格>1冊700円(別途送料をいただきます)※10冊以上で送料無料

2016-01-21

吉見裁判地裁判決について

吉見裁判地裁判決について

 中央大学の吉見義明さんが日本維新の会(当時)の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判(以下、吉見裁判)において、2016120日、東京地方裁判所民事第33部は吉見さんの請求を棄却する不当な判決を出しました。
 この裁判の発端は、20135月に橋下前大阪市長が「慰安婦制度が必要なことはだれでもわかる」と発言したことです。国内外からの批判を浴びた橋下前市長は同月、日本外国特派員協会で橋下徹前大阪市長が弁明のために講演しました。その際に、同席していた桜内氏が司会者の発言に関して、「ヒストリーブックスということで吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども、これはすでに捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかにされています」と発言しました。研究者の研究業績を捏造であると公言する行為は、研究者に対する重大な名誉毀損であるだけでなく、研究者の社会的存在そのものを否定する暴挙です。そして、被告の発言は「慰安婦」被害者の尊厳をも冒涜するものであり、断じて許されません。吉見さんが訴訟に踏み切ったのは当然のことでした。
 今回の判決が、吉見さんの請求を棄却したのは、冒頭に述べたとおりです。裁判所は、前述した被告発言中の「捏造」の意味するところが、「誤りである」「不適当だ」「論理の飛躍がある」といった程度の趣旨であるとの認識を示しました。そして、こうした意見または論評を表明することは、原告の社会的評価を低下させる名誉毀損に該当するとしながらも、被告の発言には違法性はなく、被告は免責されるとしたのです。
 「捏造」とは、「事実でないことを事実のように拵えること」という意味の言葉ですが、これを「誤りである」「不適当だ」「論理の飛躍がある」という趣旨と認識していることは、極めて強引で、到底成り立たない解釈と言わざるを得ません。そして、このようにねじ曲げられた「捏造」に対する解釈を前提として、被告発言の違法性が認められなかったことは、極めて不当です。
 吉見さんの研究は日本軍「慰安婦」問題の実態解明に誰よりも大きく貢献し、日本国内外の歴史学界において高い評価を得てきました。そして、そうした研究成果は、「慰安婦」被害者に希望の光を与えてきました。今回、こうした研究をねつ造とする発言の問題性が認められなかったことは、国内外の歴史学界に対する全面的な挑戦であるとともに、被害者の尊厳をいっそう冒涜するものです。
 また、吉見裁判に対しては、日本国内はもちろん世界の市民から、あたたかいご支援をいただきました。私たちは昨年12月より「公正な判決を求める国際市民署名」の運動を展開し、今年111日までに「慰安婦」被害者を含む1438筆の署名を集めることができました。今回の判決は、こうした世界の市民の声をも踏みにじるものです。
 ところで、吉見裁判では、日本軍「慰安婦」制度が性奴隷制度といえる根拠についても、議論を展開してきました。ただし、今回の判決では、「慰安婦」制度が性奴隷制度であるか否かという点については、何らの判断もおこなわれませんでした。したがって、今回の判決によって、「慰安婦」制度が性奴隷制度であることが否定されたことにはなりません。なお、「慰安婦」制度が性奴隷制度であるというのは、国際的な常識であり、歴史学界においても広く共有されている認識です。
 私たちは、不当な判決に強く抗議するとともに、吉見さんの名誉回復と、日本軍「慰安婦」問題の真の解決に向けて引き続き裁判闘争を続けていくことを、ここに表明します。これまで吉見裁判をご支援いただいたみなさんにお礼申し上げるとともに、引き続きご協力をお願い申し上げます。

2016121

YOSHIMI裁判いっしょにアクション
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※これは判決を受けての速報版です。今後、判決をより詳細に検討し、あらためて見解を発表する予定です。

※判決はこちら(PDFファイル)から閲覧できます。

2016-01-16

吉見裁判 第9回口頭弁論・結審&報告集会 参加記

吉見裁判第9回口頭弁論・結審参加記

吉見裁判は2015105日(月)、東京地裁でのすべての手続きを終え、結審を迎えました。今回は被告側の大々的な傍聴呼びかけがなかったのか、抽選は行われず、希望するすべての人が法廷に入ることができました。それでも大法廷の傍聴席は大方埋まっていました。

●大森典子さんの弁論
まず原告弁護団の大森典子さんが、最終準備書面の内容に沿って原告代理人として弁論を行いました。
はじめに被告桜内文城氏の「ヒストリーブックスということで吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども、これはすでに捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかにされています」との発言が吉見さんに対する名誉毀損に当たることを明確に説明しました。上記発言の「これは」が、一般の聴取者の普通の注意を基準にしたら、被告が主張してきたように「sex slavery」を指すとは考えられないことを説明し、この裁判の審理の対象が「吉見さんという方の本はねつ造である」という主旨の被告の発言が名誉毀損に当たるか否かという点にあることを強調しました。その上で、「捏造」という歴史学者にとって学者生命にもかかわるような発言が、現職の国会議員によって、しかも多数のメディアが集まる記者会見の場でなされ、その様子がインターネット上で現在も世界に発信され続けている現状の、名誉侵害の深刻さを訴えました。さらに被告が、裁判が始まってからも「『慰安婦=日本軍の性奴隷』という虚構の事実を捏造し、自らの政治主張を世界中にまき散らしている」などの発言を繰り返してきた、その悪質さも指摘しました。
次に被告の「仮に被告の本件発言が被告の意図はどうあれ客観的には原告の著書に言及したものと解されたとしても、原告の著書の中で慰安婦は性奴隷であると断定している部分は捏造である」という主張に対しても、これまでの弁論の過程でしっかりと反論し、被告の国際法上の奴隷概念や「慰安婦」に関する事実認定が誤りであることを実証してきたことを述べ、「捏造」(つまり「事実でない事を事実のように拵えていうこと」)という言葉が吉見さんの本に関して当てはまらないことを論じました。
最後に、今回の弁論に際して提出された被告の準備書面の結論で「本件は学説間の対立の問題に過ぎない」と述べられている点について、この裁判を名誉毀損の事件ではないように演出しようとする被告の苦し紛れの論法としか考えられないと批判し、この裁判の争点が、被告の発言が名誉毀損行為かどうかにあることを確認して、弁論を終えました。

●吉見さんの最終陳述
 続いて吉見さんが原告の最終陳述を行いました。吉見さんもこの裁判の争点が、被告が原告の本は捏造であると述べたことにあることを訴えました。その上で、被告が①被告発言の「これ」は「sex slavery」を指す、②「慰安婦は性奴隷である」という命題のことであると主張を変え、さらには③「原告の著書の中で慰安婦は性奴隷であると断定している部分は捏造である」と言うなど、被告が苦し紛れの言い逃れを繰り返してきたこと、そして、原告側がそれらの被告の主張の破たんを、裁判を通じて証明してきたことを強調しました。吉見さんは、被告が20154月におこなわれた本人尋問の中で、原告代理人から「原告が事実でないと知りながら虚偽の事実を書いたと考えているのか」と質問されて、「そうは考えていない」と答えたことにも言及しました。
次に最終書面の中で被告が、「慰安婦」は性奴隷であると何らかの形で裁判所に言わせようとする政治的目的があるのではないか、本件は学説間の対立の問題に過ぎない、という主張を展開したことに対して、吉見さんは次のように明確に反論しました。前者については被告の邪推でしかないこと、原告側が一貫して裁判の争点は被告の発言が名誉毀損に当たるかどうかという点にあると主張してきたことを述べました。後者については、吉見さんの本を読んだことのない被告が「これはすでに捏造であるということがいろんな証拠によって明らかとされております」と発言したことが「学説間の対立」にはなり得ないという、とても当たり前のことを冷静に指摘しました。
最後に、吉見さんは被告が根拠なく「捏造」との発言を繰り返しながら、言い逃れのために主張を変遷させることによって、吉見さんへの攻撃のみならず、勤務先にまで攻撃が向けられている現状を訴えました。

●被告の最終陳述
次に被告桜内氏の最終陳述がありました。裁判のきっかけとなった自分の発言について、「慰安婦をsex slaveという人がいたらそれに反論する」という「任務」を所属政党から負って出席した記者会見だったこと、吉見さんの本を読んだこともなかったこと、「原告のことなど眼中になかった」ことを語りました。そのうえで、さも自分の功績であるかのように、被告の発言ののち、記者会見場で「慰安婦」を性奴隷と発言する人がいなかったことや、会場に吉見さんのことを気にするそぶりも見られなかったと述べました。そのあとは、「抗議」と称して、原告準備書面の「奴隷条件に関する秦郁彦氏の見解は無知と言うほかはない」という記述への批判に終始しました。名誉毀損で訴えを起こしたのに、他の研究者を「無知」とののしる資格はない、「慰安婦=性奴隷説」によって日本国民の名誉と尊厳を傷つけ、「秦郁彦先生」の名誉を傷つけたとして、謝罪を求めるという内容でした(報告集会の報告参照)。あきれるほどの無反省ぶりと非論理に傍聴席からも苦笑が漏れました。

●被告代理人の最終弁論
最後は被告代理人でした。こちらは、「原告は名誉毀損でも何でもないほんの一言をさも大事件のように扱って、裁判所に慰安婦は性奴隷といわせるという、自分の政治的目的のために利用している」と印象付けをしようと様々な意見を述べるのですが、そのどれもがすでに原告側の弁論で反論されていたり、あるいは証拠もなにもないネット上の単なる噂話を事実かのように語るなど、裁判での弁護士による弁論とは思えないような内容でした。
被告の発言の短さに対して、原告が出してきた準備書面や証書が膨大な量であることを揶揄を込めて指摘したり、(実際は被告が次から次へと主張を変えてきたからこそ、それに合わせて反論を繰り広げざるを得なかったにも関わらず、そのあたりの事実関係を無視して)原告側が次々に主張を変えてきたと指摘してみたり、「慰安婦」が性奴隷でないことが一般的な認識であるにもかかわらず吉見さんなど一部の人間がそれを批判しているのだから、原告一人への名誉毀損ではなく、一般命題への批判に過ぎない、と言ってみたり…原告側の弁論や主張で丁寧に説明し反論してきたことなど一切無視した弁論には驚きを禁じえませんでした。

9回報告集会参加記

閉廷後、場所を衆議院第二議員会館第一会議室へ移動して報告集会を開催しました。
まずは大森さんから今日の結審の内容を振りかえっての説明がありました。結審の法廷の場で判決期日が指定されたことについては、「こういった大きな裁判では『判決期日は追って指定する』と言ってその場で決まらないことが多いので、裁判官3人の中ではすでに判決の大筋が合意されているのでは」と述べました。また、桜内氏は負けたとしても控訴をするだろうから、判決の勝敗にかかわらず、次の裁判を見据えて闘う必要があるとの決意も語ってくれました。
続けて弁護団の一人ひとりから、最終準備書面でのそれぞれの執筆担当箇所についてコメントをいただきました。最終準備書面は『日本軍『慰安婦』制度はなぜ性奴隷制度と言えるのか』PARTⅢに収録されています。1700円(送料・振込手数料別)でお分けしていますので、ぜひお求めください。
はじめに、川上詩朗さんから最終準備書面の大枠の説明と、川上さんが担当した国際法に関する部分の紹介がありました。ここは阿部浩己さんの意見書を基に作成されており、第7回の口頭弁論での阿部さんへの証人尋問同様、国際法上の奴隷概念に照らして「慰安婦」制度が性奴隷制に当たることを的確に指摘しています。
穂積剛さんからは、桜内氏が意見陳述で、原告側が秦郁彦氏について準備書面11の中で「無知」と書いたことに強く抗議し謝罪を求めたことについての説明がありました。秦氏に対する原告からの反対尋問で、「慰安婦」が性奴隷なのかどうかは国際法に照らして判断すると答えた秦氏に、奴隷条約の解釈について質問したところ、専門家として呼ばれたにもかかわらず「それは知らん」と答えたことを「無知」と書いたのであり、不当でも何でもないことを強調しました。
また「裁判の弁論を聞いていて、向こうを支援する人たちはおかしいと思わないのだろうか」というあまりにも当然の疑問とともに、「世の中を右に引き倒すためだったら、事実も論理もどうでもいい。自分の都合のいい結論があって、そこに引き寄せようとしているのだろう。しかもそれが一般の人によってではなく、議員という立場の人間が行ったことがとても問題だ」と指摘しました。
 松岡肇さんは、「この裁判は間違いなく勝訴すると思っているが、最後の最後まで分からないという経験を何度もしてきた」と、長く中国人の強制連行・強制労働の裁判を担当してきた経験から語り、被告弁護団に対しても被告を説得したり訂正したりしないのだろうかと考えてしまうほどで、裁判官も同じように思っているだろうとは思うが、判決が出るまではどこかで用心をしておくことが必要だと、注意を促しました。
武藤行輝さんは、吉見さんの陳述書などを基に書かれた日本軍「慰安婦」制度の実態の部分を担当しました。その中で武藤さんが特に伝えたかった点として、「はじめに」に書いた内容を紹介しました。一つでも例外があれば「慰安婦」制度は性奴隷制度とはいえないという前提に立つ被告側に対する反論を込めて、家永教科書裁判で意見書を提出した永原慶二さんを引用して、歴史的事実はすべての例や事象から総合的に判断することが必要だということを提示して、この点を理解していない被告側が「歴史学の基本的作法を全く理解できていない」という点をはっきりと主張しました。
緒方蘭さんは小野沢あかねさんの意見書(こちらも『日本軍『慰安婦』制度はなぜ性奴隷制度と言えるのか』PARTⅢに収録)を基にまとめられた公娼制度との関係の部分を担当しました。「この裁判を担当して、否定的な意見に対する説得的な反論の方法を整理することができたが、歴史の事実はなかなか知る機会がない」と、司法修習生の集まりで「慰安婦」問題の学習会の講師を担当した時に「慰安婦ってホントにいたんですか」という質問が出たこと語ってくれました。
吉見さんからの結審を迎えての感想の後、質疑応答に入りました。
一つ目の質問は、被告側の「この問題を政治問題化させるために、裁判所に『慰安婦』は性奴隷だと言わせるためにこの裁判を使っている」という陳述についてでした。弁護団からは、被告側は政治運動だと言って、裁判所を恫喝した気になっているのかわからないが、これは論理的な反論でも何でもないので、まともに相手をするつもりはない、裁判所は裁判に提出された証拠に基づいて判例に従って裁くだけなので、このような意見に裁判所が影響を受けることないと考えている、との応答でした。
二つ目も被告側の裁判の論旨とは全く関係のない発言についての憂慮でした。以前の弁論で被告側が「あなた方は慰安婦に関する日本政府の公式見解を知っていますか」と質問したことについて、日本政府の見解を否定する判決を出すのかという恫喝をしていることについてどう思うかというものでした。弁護団からは、判例から考えれば負けるはずのない裁判でも、判決が出ないことにはやはりわからない、しかし、正義は私たちにあると確信しているし、そうではない判決が出たとしてもそれを押し返していく努力を続ける。裁判官が臆してしまうような裁判で大事なのは、多くの方が傍聴に来て、しっかり見ている、この裁判に注目しているということを示すことだ、との意見がありました。

120日の判決へも引き続き、みなさまの傍聴をよろしくお願いします。
                                (一事務局員)

2016-01-12

国際署名提出のご報告

国際署名提出のご報告

昨年12月7日から開始いたしました「裁判所に公正な判決を求める国際署名」は、1月11日までに1421名の方にご署名をいただきました。
昨年12月25日には第一次分851筆を、そして1月12日には第二次分570筆を、東京地方裁判所に提出しましたので、お知らせいたします。

これにて、国際署名は一旦、締め切りとさせていただきます。
ご協力いただいたみなさま、まことにありがとうございました。